■ホーチミン市の公立高校入学試験
市内の公立高校は、「一般校」(trường thường)と「専攻エリート校」(trường chuyên)の2種類があります。また、優秀な一般校の中には、「専攻エリートクラス」(lớp chuyên)を設置するところもあります。「専攻エリート校」と「専攻エリートクラス」の生徒は、一般校と同様のカリキュラムの授業に加え、数学、物理、化学、国語、英語など、1つの科目を専攻して難易度の高い授業を受け、全国の専攻エリート校・専攻エリートクラスの代表チームと競争することになっています。
◇市内の専攻エリート校:レホンフォン(Le Hong Phong)高校とチャンダイギア(Tran Dai Nghia)高校の2か所。
※同じく専攻エリート校であるベトナム国家大学ホーチミン市校(VNU-HCM)傘下フォートンナンキエウ(Pho Thong Nang Khieu)高校も市内にありますが、入学希望者はホーチミン市教育訓練局の主催による公立高校入学試験ではなく、VNU-HCMの主催による独自試験を受けます。
◇市内で専攻エリートクラスがある一般校:グエントゥオンヒエン(Nguyen Thuong Hien)高校、ザーディン(Gia Dinh)高校、グエンフウフアン(Nguyen Huu Huan)高校など。
今年度の公立高校入学試験は前年度と同じく、◇数学、◇国語、◇英語の3科目があります。専攻エリート校・専攻エリートクラスへの進学を希望する場合は同3科目の他、さらに「専攻科目」(môn chuyên)の試験を受ける必要があります。得点の算出方法は以下の通り。
◇一般校:「数学」+「国語」+「英語」
◇専攻エリート校・専攻エリートクラス:「数学」+「国語」+「英語」+「専攻科目×2」
受験者は過去年度の各校の合格点を参考し、自分の学力を検討の上で、◇第1希望、◇第2希望、◇第3希望の高校を受験前に登録します。同一校の合格点は、「第1希望の生徒に求められる合格点」<「第2希望の生徒に求められる合格点」<「第3希望の生徒に求められる合格点」となっています。
<一般校:2023-2024年度における第1希望の生徒に求められる合格点上位10校>
※ソース:Dan Tri
合格点を得点できず第1希望の高校に入れませんが、その得点数が登録された第2希望の高校の「第2希望の生徒に求められる合格点」以上だった場合、そのまま第2希望の高校に進学することになります。第3希望もそれと同様に取り扱われます。生徒と保護者は、公立校に入る可能性を高めるために第1希望は自分の本当に入りたい高校にしておいて、第2希望は二流か三流、第3希望は三流か四流の高校にする戦略を取ることが多いです。
ホーチミン市に一般校の高校は108校があります。今年度の受験者数が9万6000人であるのに対し、公立高校の受入可能生徒数は7万7200人となっていますので、全体の20%にあたる1万8800人は公立高校に合格できず、書類選考により私立校や職業訓練校などに進学することになりました(電子新聞最大手VnExpress)。
一方のハノイ市では、公立高校の生徒受入能力がホーチミン市と比べて遥かに低いため、公立高校に合格できず私立校などに進学する生徒の割合はなんと40%に上っています(国営テレビVTV9チャネルの放送)。
なお、ホーチミン市の公立高校の授業料は1か月当たり数十万VNDとなっています。これに対し、グエンクエン(Nguyen Khuyen)など庶民的な私立校の授業料が少なくとも公立校の授業料の5倍以上です。ビンスクール(Vinschool)など富裕層向け私立校ともなると、公立校の授業料の数十倍に達し、非常に大きな負担となっているため、南北を問わず、公立高校に入るための競争が全国で年々熾烈化しています。